【前編】息切れをしやすい動作とその対策
息切れは、「呼吸に伴う不快な感覚」です。そのため、人によって息切れの感じ方は様々です。「息が吸いにくい」、「のどになにかが張り付いて呼吸がしにくい」など、人によって息切れの表現や強さは様々で、息切れを感じる動作やタイミングも異なります。そこで、今回は息切れを起こしやすい動作の紹介とその対策について一例をお伝えします。
息切れをしやすい動作として、以下5つを前編と後編の2回に分けて紹介します。
①入浴
②排便
③着替え
④顔を洗う
⑤階段昇降
②排便
③着替え
④顔を洗う
⑤階段昇降
今回は、前編として①入浴、②排便について紹介します。
どの動作にも共通する対策が以下のとおりです。
- 息切れをしやすい動作を知る
- ゆっくりと動作をする
- 時間に余裕をもってこまめに休憩をする、休憩をできる環境をつくる
- 息切れに慣れる
その他にも、息切れを起こしやすい動作はたくさんありますが、今回紹介する環境設定や動作方法を応用できる部分もあるので、ぜひ参考にしてみてください。
入浴動作
浴室の温度や湿度が高く、呼吸が苦しくなりやすい動作の一つです。
<対処法>
環境設定
浴室内
- 浴室用の椅子など座面の高い椅子を置く
- 髪の毛を洗う動作にはシャンプーハットを利用する
- 体を洗うときは長いタオルを使用する
脱衣所
- 椅子を設置する
- 入浴後は体が冷えないようにすぐに羽織ることができるバスローブなどを使用する
動作方法
- 動作ごとに休憩ができるように椅子を使用する
- 腕を上げる動作
髪の毛を洗うときは、両手を一度に挙げずに片手ずつ洗う
背中を洗うときは長いタオルを使って、腕を高く挙げなくても洗えるようにする
排便
いきむ時に息切れを感じます。
<対処法>
環境設定
- ウォシュレットの使用
- 便秘が続く場合は主治医に相談をして、下剤の使用を検討してもらう
動作方法
- 息を吐くのに合わせて、ゆっくりとお腹に力を入れる
今回紹介した動作や対策はあくまで一例ですが、息切れに苦しんでいる方はぜひ実践してみて下さい。息切れの程度は人によって異なります。呼吸リハビリテーションでは、個人個人(または一人一人)に合わせた呼吸法や動作方法を指導しています。呼吸リハビリテーションを希望される方は主治医までご相談ください。
※呼吸リハビリテーションを実施する際には主治医の処方が必要になります。まずは、呼吸リハビリテーションの適応があるかどうか、標準的な治療が行われているか、実施を妨げるような他の病気がないかなどを主治医に判断してもらう必要があります。
※写真については、ご本人の承諾の上、掲載しています。
参考資料
呼吸器疾患のセルフマネジメント支援マニュアル、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌、第31巻 増刊号(2022年)