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病院のブログ

酸素の値を測定する器械(パルスオキシメータ)のおはなし -患者さんからのよくある質問-

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大以降、患者さんの中でも酸素の値を測定する器械をお持ちの方が増えてきました。その正式な名称を「パルスオキシメータ」、測定される値を経皮的動脈血酸素飽和度(SpO₂)と、言います。パルスオキシメータを使っていて、以下に示すような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

①どのようにSpO₂を測定しているの?
②測定がうまくできないのはどうして?
③測定された値は高い方がいいの?・値が高いのに苦しいのはどうして? など
そこで、3回に分けてパルスオキシメータに関する情報をお伝えします

今回は、「③患者さんからのよくある質問」について簡単にお伝えします。

患者さんからのよくある質問

酸素の値(経皮的動脈血酸素飽和度:SpO₂)は高ければ高いほどいいの?
年齢やご病気によって異なります。一般的に、健康な若年者で98%、高齢者で95%程度と言われています。しかし、肺などのご病気をお持ちの方は、安定している時でも、これらの値よりもSpO2が低いことがあります。息苦しいときは、安定している時のSpO2値と比較することが大切です。
酸素の値(SpO₂)はいくつ以下になるといけないの?
一般的にSpO₂:90%以下が酸素不足とされています。また、安静時のSpO₂が88%以下になると家で酸素を吸入する在宅酸素療法の適応基準となります。肺のご病気をお持ちの方の中には、安静にしているときはSpO₂の値が良くても動いた時や寝ているときにのみSpO₂が下がる方もいらっしゃいます。そのような場合も、在宅酸素療法の適応となることがあります。

酸素の値が高いのに苦しいのはどうして?酸素を吸えば楽になるの?
酸素不足を原因とする苦しさに対しては酸素を吸うのは有効です。しかし、酸素不足を伴わない息苦しさには酸素吸入は効果がないとされています。「息苦しい=酸素が足りない」と感じる方もいらっしゃいますが、息苦しさの原因はさまざまです。息苦しさの原因に対する検査や対処が必要となります。

おわりに

 これまでのブログの内容を通じて、少しパルスオキシメータに関して理解いただけたでしょうか。まだお読みでない方はぜひこれまでの記事もお読み下さい。
 
①どのようにSpO₂を測定しているの?
②測定がうまくできないのはどうして?
 
SpO₂が高いから肺の病気がないというわけではありません。肺の病気をお持ちの方で、酸素不足の不安がある場合は主治医に相談してみて下さい。
 
 
参考資料
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 酸素療法マニュアル作成委員会,日本呼吸器学会 肺生理専門委員会(編):酸素療法マニュアル(酸素療法ガイドライン 改訂版),2017.

リハビリテーション科