【健向ゼミ】「これだけは知っておこう!薬の使い方」を開催しました!
2018年10月23日(火)午後2時より複十字病院薬剤師桑原真由美を講師にテーマ【これだけは知っておこう!薬の使い方】について複十字病院健向ゼミを開催しました。(清瀬市けやきホール1階セミナーハウス:東京都清瀬市元町1-6-6)
ゼミ内容を少しご紹介します!
健康な方もご病気を抱えていらっしゃる方も、今まで一度もお薬を使ったことの無い方は多分いらっしゃらないと思います。 薬は使い方一つで薬にも毒にもなります。せっかく飲んでいるのなら効果的に使いたいですね。そのために、これだけは知っておいて頂きたい、くすりの使い方 以下1~5の5項目について今回お話しさせて頂きました。
-
- 用法・用量を正しく守る
- 副作用を確認する
- 飲み合わせを確認する
- 他人の薬を使わない
- お薬手帳を活用する
用法・用量を正しく守る
飲んだ薬は、口から食道を通って胃や腸で溶け、主に小腸で吸収され、小腸から血液中に入ります。血液中に入った薬は肝臓へ送られます。肝臓で一部が分解され無毒化されます。残りの薬が血液中に入って心臓に運ばれます。心臓のポンプの力で、血液と一緒に全身を巡ります。そして薬は病巣や幹部に届き、効き目を現わします。薬の効き目は体の中の薬の量で決まります。体の中の薬は血液にとけているので、血液にとけている薬の濃度によって、薬の効き目が決まります。濃度が高すぎたり、低すぎたりしても良い効き目が出ません。安全に効き目が出る濃度にする為に、薬には決められた回数、時間、量があります。正しく守ることで薬は安全に効果を発揮します。
副作用を確認する
薬の本来の目的である病気を治したり症状を軽くする働きのことを「主作用」、薬本来の目的以外の好ましくない働きのことを「副作用」と言います。例えば花粉症の薬などに含まれる抗ヒスタミン成分は、鼻水やくしゃみを抑える一方、脳に作用して眠気を起こすことがあります。全ての薬は、「主作用」と「副作用」を併せ持っています。
副作用が起こる原因は、大きく分けて5つあります。
① 薬の性質によるもの
例えばアスピリンに代表される解熱鎮痛薬では、元々胃腸障害、腎障害が起こりやすい性質を持っています。
② 薬の使い方によるもの
例えば子供に大人用の薬を飲ませてしまったり、決められた量以上飲んでしまった場合などです。
③ 使う人の体質・体調によるもの
アレルギー体質の人は薬に対しても過敏に反応することがあります。また、使った人のその時の体調が悪いと、副作用が出てしまう事があります。特に、副作用を起こしやすい乳幼児や妊婦、高齢者、アレルギー体質の人、肝臓や腎臓に病気がある人は注意が必要です。
④ 飲み合わせによるもの
薬と薬の相互作用があります。いろいろな薬を飲んでいる人は気を付ける必要があります。
⑤ 予期できないもの
今まで報告されていない新しい副作用が起きる可能性があります。
薬を飲んだ後、いつもと異なる症状が現れた場合、すぐに医師または薬剤師に相談しましょう。 自己判断で飲むのをやめたりしないでください。
医薬品副作用被害救済制度
薬の副作用による健康被害の救済を行う制度です。
医薬品は正しく使っていても、副作用の発生を防げない場合があります。そこで、医薬品(病院・診療所で処方されたものの他、薬局等で購入したものも含みます)を適正に使用したにもかかわらず、その副作用により入院治療が必要になるほどの重篤な健康被害が生じた場合に、医療費や年金などの給付を行う公的な制度が、医薬品副作用被害救済制度です。詳しくはPMDAホームページでご確認ください。
飲み合わせを確認する
薬の中には一緒に飲んではいけない薬の組み合わせや、一緒に飲んではいけない飲食物があります。その場合、主作用が強く出たり、反対に弱くなったりします。また、副作用が出る場合もあります。
薬と薬の飲み合わせ
2つ以上の薬を併用すると、その種類によってお互いに影響し、効かなくなったり、効きすぎることがあります。それによって、期待される作用が現れにくくなったり、また、思わぬ副作用が現れたりすることで、適切な診療の妨げになることがあります。
薬と飲食物の飲み合わせ
同じように薬によっては、一緒に飲んだり食べたりすることで薬の効果が強くなったり、弱くなったりする組み合わせがあります。
病院にかかるとき、薬を買うときには、今使っている薬を必ず医師や薬剤師などに伝えましょう。
薬の正しい飲み方
基本的には飲み薬は水で飲むことを大前提に作られています。
- 薬の正しい飲み方は
① コップ1杯の量の、
② 水かぬるま湯で、
③ そのまま、噛んだり、カプセルを外したりしないで、少量の飲み物では喉や食道につかえたり、水かぬるま湯以外の飲み物には薬と反応したり、噛んだり、カプセルを外して飲むと十分に吸収されなかったりして、本来の効き目が現れないことがあります。
ルールを守れば本来の効き目が期待できます。
薬を飲むときには、この3つのルールを忘れずに守りましょう。
他人の薬を使わない
病院でもらうくすりは、患者さんを検査し、診断したうえで、それぞれの症状、体質、体力、年齢、使うタイミングなどを考慮して処方されていますので、誰にでも合うというものではありません。自分に合ったからといって、他の人にも合うという保証はありません。特に、抗生物質や消炎鎮痛解熱薬などに対しては、過敏症の人がいますので、どんな副作用が起こるかわかりません。ですから、医師から処方されたくすりを他人に使用してはいけません。
また、以前に処方され、しまっておいたくすりを再利用することもやめてください。年数が経たったくすりは、保存環境によっては成分が変化して、本来のくすりの効果が期待できないことがあります。もったいないと思うかもしれませんが、使用はやめてください。
お薬手帳を活用する
お薬手帳は、処方された薬の名前や飲む量、回数、飲み方、注意することなどの服用歴がわかるようになっています。おくすり手帳は医師や薬剤師にとって重要な情報源になり、薬の相互作用、重複投与を避けることで、安全に薬を使うことができます。 何よりもご自身にとって重要な情報源です。過去に起きた副作用を書いておくことで、同じ副作用を防ぐこともできます。何冊も持っている方もいらっしゃいますが、かかりつけ薬局に相談し1冊にまとめてもらいましょう。
病院にかかる際は、必ずお薬手帳を持参しましょう。また外出時もお薬手帳を持ち歩きましょう。 旅行や災害、急に具合が悪くなった時などに、自分の薬の情報を正確に伝える事が出来ます。服用しているお薬が分かることで、治療の助けにもなります。
お薬をもらう際は、用法・用量、副作用、飲みあわせをしっかり確認しましょう。
薬について、何かお困りのことがあれば、薬局や病院の薬剤師にお尋ね下さい。