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【健向ゼミ】「スポーツと栄養~からだ作りのための効果的な食べかた~」

2019年8月23日(金)午後2時より複十字病院管理栄養士川﨑を講師に
テーマ【スポーツと栄養~からだ作りのための効果的な食べかた~】について複十字病院健向ゼミを開催しました。

(清瀬市けやきホール1階セミナーハウス:東京都清瀬市元町1-6-6)

ゼミでは、お子さんから、ご高齢の方、病気をお持ちの方がこれからも楽しく、安全に運動を楽しむための食事のポイントについてお話をいたしました。

「椅子に座ったままできる運動」をご紹介したり、筋肉1kgと脂肪1kgの模型を持って頂いて、重さを体験していただいたりと、ご参加者の方々に楽しんで頂きました。

 

当日、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。

当日のお話をご紹介いたします!

  1. スポーツを楽しむための食事
    ①筋肉づくりのための食事 ②食べるタイミング
  2. レジスタンス運動
  3. ジュニアアスリート
  4. たんぱく質の必要量
  5. 安全に運動するために
    ①水分補給 ②病気への配慮

筋肉作りに必要な3本柱


基本的には運動するには栄養と睡眠が大切になります。「筋肉作りのため運動」となると負荷をかけることになります。そうすると一時的に筋繊維が壊れます。そのタイミングで適切な栄養と休養を取り入れることで、人間の体に備わっている修復機能により、壊れる前よりも強い筋肉が再生されるのです。
筋肉作りには、運動と同時に栄養と睡眠も加えた3本柱を整えることが大切です。

筋肉作りのための食事


「筋肉を作るためには何が必要ですか?」とお聞きすると「タンパク質」と多くの方がお答えすると思います。

もちろん筋肉づくりにはたんぱく質が必要ですが、過剰な糖質制限などで、糖質を摂らずにタンパク質の多い食品だけを増やすと、総エネルギーが足りなくなることがあります。動くためにはエネルギーが必要なので、不足していると、せっかくタンパク質を摂っても、エネルギー源として使われ、筋肉になりにくくなってしまいます。極端に偏らないよう、バランスよく食事を摂ることが基本です。

クイズ:筋肉を増やすためにはどっちが効果的?


正解は、実は「牛乳などの乳製品なんです!」牛乳の中に入ってるホエイ(ミルク)プロテインには、 BCAAが豊富に含まれています。BCAA(ロイシン・イソロイシン・バリン)は、体の中では作れない必須アミノ酸ですが、その中のロイシンは、筋肉の司令塔と言われ、筋肉作りに重要な栄養素となります。

クイズ: たんぱく質をとるタイミングはいつが良い?


正解は、「トレーニング直後の30分!」
運動した後30分が筋肉を作るのにゴールデンタイムと言われています。高齢者の場合は、筋肉を作るのに若い人より時間がかかるので、目安として1時間以内くらいに摂りましょう。「運動した後にはタンパク質を摂る」と筋肉づくりに効果があることを覚えておいてください。

レジスタンス運動とは?

レジスタンス運動をしている方は、どれくらいいらっしゃいますか?
「筋肉」を作るには、“レジスタンス運動”が良いとされています。スポーツジムに行って機械を使って運動するイメージかもしれませんが、自分の体重(自重)を利用して行なうのもレジスタンス運動に含まれます。いつでもどこでもできるので、日常生活に上手に取り入れるといいです。長続きのコツは、無理せず自分の体力に合わせて行なうことです。


運動は続けて20分以上続けないと効果がないと聞いたことはありませんか?
無理して続けて長時間運動しなくても大丈夫です。例えば、60分運動をしようとおもったら、30分実施してちょっと疲れたら休憩して、また再開するという方法でもいいのです。分割して運動すると、後半に交感神経を刺激してアドレナリンが高くなり、脂肪を分解しやすくなるとも言います。
無理して体を壊しては元も個もないので、自分の体力に合わせて実施しましょう。

レジスタンス運動は、筋たんぱく質合成を高め、同時に筋たんぱく質分解も高めます。そのため運動後の「たんぱく質」や「アミノ酸」の摂取はトレーニング効果を発揮するために欠かせません。

ジュニアスポーツについて

サッカー、野球、水泳など様々な運動をしている子がいると思います。子供は、何もしていなくても成長するためのエネルギーが必要です。加えて運動をするとなると、消費した分、エネルギーを補給しなければなりません。成長期に栄養不足のまま激しい運動をしていると、骨や内臓が丈夫に育たなかったり、貧血気味になったりすることもあるので注意が必要です。

では、子供の練習前後にどんなものを取ったら良いのでしょうか。練習前であれば、糖質とか水分を中心に油っぽくないものをお勧めします。簡単にとれるものとしては、「おにぎり」、「パン」、「果物(または果汁100%ジュース)」など油っぽくないものです。菓子パンのように甘いものは、あんまりお勧めしません。練習後は、運動で使った後のエネルギー補給と筋肉の修復のために、「糖質」と「たんぱく質」をとることをお勧めします。手軽にとれるものとして「ヨーグルト」、「牛乳」、「チーズ」とか「プロテイン」などです。最近では、アミノ酸飲料など手軽に手に入るので、利用してもいいですね。ただし、練習が夕方までかかり、練習後まもなく夕飯となることもあるので、補食をとりすぎて、夕飯を食べられなくならないよう、あくまでも一時的な補給として、夕飯に影響が出ない程度の量にすることをお勧めします。



*日本人の食事摂取基準は5年ごとに改定され、すでに2020年度版ができています。
内容が少し変わりますので、ご興味のある方は、ご確認ください。


*「日本人の食事摂取基準2015」のたんぱく質推奨量(18歳以上)は、男性60g/日、女性50g/日となっています。

たんぱく質はどれくらいとれば良いのかな?


次に、たんぱく質をどれくらい摂れば良いのかについてお話します。
成人男性(ふつうの労作)の場合、「日本人の食事摂取基準2015」による推定エネルギー量は2,650kcalとなります。中心値で見てエネルギーの16.5%をたんぱく質とすると、1日のたんぱく質の量は、約109グラムとなります。バランスよく食事を摂った場合、1日100gはどのくらいの食品になるのかを絵にしてみました。ご参考にしてみてください。

安全に運動するために

安全に運動するために①水分補給、②病気への配慮の順でお話いたします。
まずは「水分補給」です。
人間の体は、約60%が水分です。運動をして筋肉量が多い方は、体の水分量が多くなる傾向があります。体液の役割は、酸素や栄養を細胞に届ける。汗を出して体内の熱を逃し、体温を一定に保ちます。

人間は、普段何もしなくても1日約2.5ℓの水分が失われます。運動をする場合は、さらに多くの水分が失われるため、運動時気をつけなければいけないことの1つに脱水があります。

上手に水分を摂取できず脱水の状態で運動した場合、体温が上昇し、体液が2%以上失われるとパフォーマンス低下に繋がります。危険な脱水状態におちいることもあるので、こまめに水分を摂取しながら運動しましょう。あまり冷たすぎない5°~15°Cが適温です。

次に「病気への配慮」について少しふれます。歳をとれば誰しもどこかしら悪い部分は出てくると思います。ご高齢の方のみならず、思わぬ事故を招かないよう安全に運動するためには、運動前後にセルフチェックをすることが大切です。

「スポーツ参加当日のセルフチェック10ポイント」は次のとおりです。

  1. 熱はないか?
  2. からだは、だるくないか?
  3. 昨晩の睡眠は十分か?
  4. 食欲はあるか?
  5. 下痢をしていないか?
  6. 頭痛や胸痛はないか?
  7. 関節の痛みはないか?
  8. 過労はないか?
  9. 前回の疲れは残っていないか?
  10. 今日のスポーツに参加する意欲は十分にあるか?
    (村山正博ほか:スポーツ行事の安全管理に関する研究・昭和63年度日本体育協会スポーツ医学研究報告)

10項目ありますが、いつもと違った感じはないかを気にして、場合によっては運動をやめたり、強度をおとしたりする勇気も必要です。そして、運動のあとも同じように体の状態をチェックすることも。

「主観的運動強度ってご存知でしょうか?」
自分で「ややきついかな?」「ちょっと負荷がかかっているかな?」と感じる程度の強度がいいと言われてます。

持病をお持ちの方は、薬の副作用は様々ですので、事前に確認し、自分の体調に注意しながら運動を楽しみましょう。