「高血圧のはなし」
(薬と健康のはなし)
高血圧って?
血圧が高い状態(140/90mmHg以上)が続く病気で生活習慣病のひとつです。
高血圧は加齢とともに増加し、日本人の2人に1人が罹患しています。
高血圧自体には自覚症状はありませんが、「脳卒中」「心筋梗塞」「心不全」などの重大合併症を防ぐためには血圧を目標値まで下げることが重要です。
※血圧が140/90mmHg以下でも医師が必要と判断した場合には降圧薬を使う場合があります。
血圧を目標値まで下げると合併症の発症率が下がる!
- 脳卒中 35~40%↓
- 心筋梗塞 20~25%↓
- 心不全 50%以上↓
目標値 | 診察室血圧 | 家庭血圧 |
---|---|---|
75歳未満、糖尿病患者など | 130/80mmHg | 125/75mmHg |
75歳以上 | 140/90mmHg | 135/85mmHg |
高血圧の治療
1. 非薬物療法
日本人の高血圧の原因は主に「食塩摂取量の多さ」「肥満・メタボリックシンドロームの増加」です。
2016年の調査では日本人の食塩摂取量は1日平均9.9g、また男性の肥満の割合は過去30年間で2倍に増加しています。
そのため、減塩や運動などの生活習慣の改善が重要になります。
塩分制限
- 高血圧の人
1日6g未満を推奨 - 正常血圧の人
高血圧予防のために男性1日7.5g未満、女性1日6.5g未満を推奨
運動、減量
- BMI 25未満を維持
※BMI=体重[kg]/身長[m]² - 有酸素運動を毎日30分または週180時間以上行う
野菜・果物の摂取
- カリウムを多く含む野菜や果物の摂取
※糖尿病や慢性腎臓病のある方では摂取制限がある場合があります - 魚介類、豆類、穀物が豊富で肉類を控えた食事
節酒、禁煙
- エタノール換算で男性1日20~30mL以下(日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイン2杯)、女性1日10~20mL以下
- 禁煙は受動喫煙も含む
2. 薬物療法
一般的に降圧薬は1種類から開始し、効果と副作用を見ながら他の薬に変更したり、薬の種類や量を減らしたり増やしたりします。2、3種類の薬が混ざった配合剤を使うこともあります。
種類 | 薬の一般名 |
---|---|
①カルシウム拮抗薬 | アムロジピン、ニフェジピンなど |
①アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬 | カンデサルタン、テルミサルタンなど |
①アンジオテンシン変換酵素阻害薬 | エナラプリル、イミダプリルなど |
②利尿薬 | ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトンなど |
②β遮断薬 | アテノロールなど |
※上記以外にも血圧を下げる薬はあります
<降圧薬の効き方>
自宅での血圧の測り方
1日2回、座って1-2分安静にしてから測定しましょう。
- 朝起床後1時間以内(排尿後、食事摂取・内服前)
- 寝る前
血圧は季節によって変動することがあります。夏場の暑いときに血圧が下がりすぎてふらつきや立ちくらみといった症状が出た場合は、病院を受診しましょう。
血圧手帳などを利用して毎日の血圧を記録することで、季節変動が分かり早めに対策することが出来ます。
薬の調節にも重要になってくるので、毎日記録して病院受診の際は血圧手帳を持っていきましょう。
血圧手帳などを利用して毎日の血圧を記録することで、季節変動が分かり早めに対策することが出来ます。
薬の調節にも重要になってくるので、毎日記録して病院受診の際は血圧手帳を持っていきましょう。
参考文献:日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』、今日の治療薬2021