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病院のブログ

呼吸リハビリテーションとは何だろう


 より快適に日常生活を送ることは皆さんが求める大事な目標の一つだと思います。このことは、慢性呼吸器疾患を持つ患者さんにおいても同じです。しかし、慢性呼吸器疾患を持った患者さんは、「息が切れる」という不快な感覚(呼吸困難)のためにしばしば身体的な活動を避けようとします。さらに、まわりの友人や家族、場合によっては医師までもが「無理して動くのは有害だから」という理由で動くことを控えるように患者さんに言うことがあります。しかし、長年にわたる調査からこのことは間違っていることが明らかとなってきました。

「動かないでいることは患者さんにとって害をもたらす敵」となってしまうことが多いのです。座ってばかり、寝てばかりは体調を崩し、筋肉を弱くし疲れやすくします。そして、息切れがさらに強くなっていくという悪循環に陥ってしまいます。慢性閉塞性肺疾患(COPD)では、動かない(活動度の低い)人ほど息切れが増強しやすく、急性増悪で入院する頻度が高いこと、生命予後が短いことが分かっています。しかし、このような悪循環は規則的な運動プログラムで断ち切ることができます。それが呼吸リハビリテーションです。


 慢性呼吸器疾患の患者さんに対する運動療法の目的は、全身の筋肉を疲れにくい筋肉に変えることで息切れや筋肉疲労を軽くして日常生活をより快適に送ってもらうこと、そして健康関連体力(抵抗力)を向上させて増悪を防ぐことです。目的を達成するためには運動の継続が必要となります。


それには患者さん一人一人に合ったゴール(たとえば、息切れのため諦めていた家族旅行をするなど)を設定することが有用となります。呼吸リハビリテーションでは、これらの目的が達成できるように呼吸法や排痰法などを含めたコンディショニング、日常生活動作訓練、運動療法(筋力トレーニングや全身持久力トレーニング)を患者さんに合わせたプログラムで実施しています。

 今回、呼吸リハビリテーションとはどのようなものかをお伝えしました。複十字病院のリハビリテーション科の診療体制を詳しく知りたい方はこちら(リハビリテーション科ホームページ)を御覧ください。早速、運動を始めてみようかなと思った方はこちら(ブログ「どんな運動をすればよいの?」)、運動の効果を知りたい方はこちら(ブログ「運動の効果について」)を御覧ください。

 次回は、呼吸リハビリテーションで実施するコンディショニング、日常生活動作訓練、運動療法についてお伝えしますので楽しみにお待ち下さい。

※呼吸リハビリテーションを実施する際には主治医の処方が必要になります。まずは、呼吸リハビリテーションの適応があるか、標準的な治療が行われているか、実施を妨げるような他の病気がないかなどを主治医に判断してもらう必要があります。希望される方は、主治医にご相談ください。2022年9月現在、新型コロナウイルスの影響により当院の外来リハビリテーションは中止しております。感染状況を踏まえて、順次再開していく予定です。

「運動の効果について」の記事はこちら
「どんな運動をすればいいの?」の記事はこちら
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