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アレルギー科

アレルギー科について

アレルギー科では、主に気管支ぜんそくの患者さんを中心に専門的な診断・治療を行います。気管支ぜんそくはずっと昔から人類を苦しめてきた病気です。今のように優れた薬が無かった時代には多くの方が病気に悩まされ、時には命を落とすことさえありました。しかし近年、ぜんそくの治療は長足の進歩を遂げ、きちんと治療さえすればほとんどの患者さんの喘息症状をコントロールすることができる時代がやってきました。我が国では、1990年ごろは毎年約6000人のぜんそく患者さんが亡くなっていましたが、21世紀を迎えてぜんそく死は減り続け、2015年には1500人あまり、それもほとんどが、過去に良い治療を受けられなかったためにぜんそくが悪化して肺機能が低下し、もう元通りには戻らなくなってしまったご高齢の方に限られています。

気管支ぜんそくは早期に正しく診断を受けてきちんと治療すれば怖い病気ではなくなっています。しかし、残念なことに、まだまだ症状を過小評価するなど、十分な治療を受けていないためにぜんそく症状が長引き、元に戻らない肺機能低下を起こしてしまう方が世の中には沢山おられます。また、現代のぜんそく支喘息の治療の中心は「吸入薬」なのですが、吸入方法が正しくできていないために、せっかくのクスリがきちんと効能を発揮できていないケースも多いようです。

当科ではまず、呼吸困難や咳、喘鳴がある方について気管支ぜんそくであるかどうか、詳細な問診や検査により正しく診断します。そして、病態やご本人の状況に合わせた治療薬を選び、きちんと吸入治療ができるように、院外の調剤薬局とも協力して「吸入指導」を実施します。さらに、難治例では最新の抗体治療薬を含めた種々の薬剤を組み合わせた投薬をおこない、できる限りぜんそく症状をゼロに持っていく戦略で治療を進めていきます。症状が残っている状態では「気道炎症」が抑えられていないので、ぜんそくは改善と悪化を繰り返してしまいますが、症状ゼロを維持することができれば、「気道炎症」は徐々に解消して日常生活をぜんそくで妨げられることがない日がやってきます。そこまでいけば、今度は徐々にお薬を減らすこともできる段階に到達です。症状ゼロまでには、数か月、時には数年かかかる場合もありますが、日進月歩の治療薬のお蔭もあり、毎年毎年、ぜんそく症状ゼロを実現する方が増えてきているのです。ぜんそく患者の皆さん、「ぜんそく症状からの解放」を目指して、ぜひ私たちと一緒にがんばりましょう!

症状がある方へ

下記の症状がある場合は、早めに「ぜんそく外来」の受診をお勧めします。

「夜間や明け方の咳」「息苦しい」「ぜん鳴(のどのあたりでヒューヒュー、ぜいぜいする音)」「風邪・感冒のあとに咳だけが長引く」「痰が絡む」「咽頭の違和感・かゆみ」「季節の変わり目や冷気・エアコンの風があたると咳がでやすい」

医療機関の皆様へ

当科は「喘息外来」を開設して気管支喘息の専門的診療を行っています。気管支喘息の治療は近年長足の進歩を遂げ、我が国の喘息死は20年前には年間1万人を超えていたのが順調に減り続け、2015年には1500人余りになっています。ただ残念なことに、いまだに十分な喘息の治療を受けていない患者さんが世の中には多数おられるのが実態で、まだまだ一般への啓発が足りていないと言わざるを得ません。

複十字病院では、気管支喘息を疑う患者さんには、詳細な問診と各種検査によりできるだけ正確に診断し、喘息であれば我が国の「喘息予防・管理ガイドライン」に沿って完全なコントロールを目指して治療していきます。現代の喘息治療の主役は何といっても副腎皮質ステロイドと長時間作用型β刺激剤の吸入投与ですが、吸入薬治療の臨床では、患者さんの誤解や知識不足などによって正しい吸入が行われていないためにせっかくのクスリが効能を発揮できていないケースも実際には多くみられています。吸入薬の選択はまず、患者さんが吸入デバイスを正しく操作できるか、吸入流速が足りているかどうかを見極め、個々のケースに適したものを選んで実地に指導していきます。さらに当院は院外の調剤薬局の薬剤師との連係プレーで吸入指導の質を高めるための活動として、「きよせ吸入療法研究会」の事務局機能を担っており、当院医師から院外の調剤薬局の薬剤師さんたちに吸入指導を依頼し、患者さんの吸入手技を評価し報告してもらうという枠組みを作り上げて運用しています。

「きよせ吸入療法研究会」は、独立行政法人国立病院機構東京病院、北多摩北部の各市医師会、西武薬剤師会の各薬剤師会、吸入薬発売各社のご協力を得て運営しており、年3回の学術講演会と各メーカー担当者による吸入実地指導も行っています。この研究会については、当院ホームページに各種のご案内や吸入指導用資料を収載していますので、ぜひご覧ください。

喘息の治療については、吸入薬以外にも各種薬剤を患者に合わせて組み合わせ、難治例には最新の抗体薬も含めた薬剤の投与を行います。また、喘息発作については24時間体制で救急対応し、随時入院も可能です。さらに、慢性閉塞性肺疾患合併の気管支喘息(Asthma COPD overlap Syndrome; ACOS)や、気管支拡張症合併の気管支喘息(アレルギー性気管支肺アスペルギルス症など)についても、診断と治療を積極的に行っていますので、喘息の診断やコントロールに難渋しているケースがありましたら、複十字病院「喘息外来」あるいは「呼吸器内科外来」へのご紹介をどうぞよろしくお願いいたします。