COPD(慢性閉塞性肺疾患)
COPDは長期にわたる「喫煙」という生活習慣により生じる慢性の炎症性肺疾患です。以前、肺気腫または慢性気管支炎と呼ばれていました。症状として徐々に進行する息切れが特徴です。2000年の日本でのCOPDによる死亡数は約13,000人で、死亡原因の第10位でした。2010年には死亡数が16,000人を超えて第9位となっており、死亡順位は今後さらに上がっていくと予測されています。
①COPDの増悪
COPDの増悪とは、「疾患の自然経過の中で,元々の呼吸困難,咳・痰の程度が日常変動の範囲を超えて急激に悪化し、慢性期の治療内容に変更が必要となった状態」と定義されています。そして、増悪の原因で最も多いのはウイルス性の気道感染です。なぜ増悪に注意が必要かというと、患者さんの生命予後に与える影響が極めて大きいということが理由として挙げられます(つまり、COPD患者さんにとって風邪は大敵ということです)。国際ガイドラインでは、安定期COPDの管理において患者さんのQOLと生命予後の悪化を防ぐという観点から、増悪の予防が重要な戦略とされています。
②増悪の予防
COPDと診断された患者さんが必ず増悪を起こすかというと決してそうではありません。自己管理を適切に行うことで予防が可能となります。禁煙、ワクチン接種、薬物療法(特に長時間作用性気管支拡張薬の吸入)が増悪予防に有用とされていますが、それだけでは十分とは言えません。COPDの特徴である気流閉塞(息の吐きづらさ)は薬物療法を行ってもなくなることはなく、息切れが残ります。慢性呼吸器疾患では息切れのために日常生活で動くことを嫌がる患者さんが多いのですが、COPDでは自発的に動かない(身体活動性の低い)患者さんほど息切れが強くなりやすく、増悪で入院する頻度が高いことがわかっています。しかし、この悪循環は呼吸リハビリテーションで断ち切ることができます。
呼吸ケアリハビリセンターでは、2009年6月の開設以来、COPDの2次予防(疾患の進行抑制、増悪予防、生命予後の改善)と3次予防(息切れの軽減、運動耐容能およびQOLの改善)を目的に、呼吸リハビリテーションを行っています。3か月のプログラムで息切れが軽減し、運動耐容能とQOLが有意に改善します。そして自己管理教育を行い、その効果を身体活動性の向上そして増悪の予防につなげていきます。
当センターで行っている呼吸リハビリテーションは科学的根拠に基づいたものです。是非、ご相談ください。