気胸
正常ではガスのない胸腔内にガス(空気、その他の気体)が貯留した状態を気胸といいます。肺に穴があいて、空気が漏れ出てしまう状態です。
原因によって自然気胸、外傷性気胸(けがを負うことで気胸が起こること)、医原性気胸(医療処置でやむを得ず気胸が生じること)があります。当院で対応している主な気胸は、自然気胸になります。
自然気胸には、さらに臨床上、肺疾患を認めない患者におこる特発性自然気胸と、何らかの肺の病気に続発して起こる続発性自然気胸に分けられます。
特発性自然気胸では、男女比は約7:1で男性に多く、年齢分布は10-40歳で全体の約80%を占めております。体型の特徴として背が高く、痩せた人に起こりやすい傾向があります。
続発性気胸では、基礎疾患として、肺気腫、肺結核、非結核性抗酸菌症、間質性肺炎があります。自覚症状は、まったく無自覚で健康診断で偶然に発見される場合もありますが、大部分は突然の胸痛、呼吸困難などを訴えることが多いです。
治療は、軽症例では安静にして自然に吸収されるのを待つ方針があります。多くの場合、肺虚脱例が多いので、胸腔ドレナージ術を施行します。繰り返す気胸に対して、外科治療を行う場合もあります。続発性気胸で、治療が困難な例があります。この場合、気管支充填術(EWS)を積極的に行っております。気胸の原因になっている肺の穴につながっている気管支に、詰め物をして気胸を治療する方法です。EWS(Endobronchial Watanabe Spigot)とは詰め物に使われるシリコン製の医療機器の名称です。当院のEWS例は、2014年は13例、2015年は19例、2016年32例です。