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喀血・血管塞栓術外来

喀血・血管塞栓術外来について

この度、複十字病院にて喀血(気道から血液が吐き出される)や、血痰(痰に血が混じる)にお悩みの方に対する喀血治療を専門とした外来の開設をお知らせします。
この度、複十字病院にて喀血(気道から血液が吐き出される)や、血痰(痰に血が混じる)にお悩みの方に対する喀血治療を専門とした外来の開設をお知らせします。
血痰、喀血の症状に対してカテーテルを用いて血管を塞栓する気管支動脈塞栓術、Bronchial artery embolization (BAE)を含めた治療方針を提示させていただく外来となります。(予約制:水曜日午前)

喀血・血痰とその治療

呼吸器症状の1つとして血痰・喀血などの気道からの出血があります。原因となる疾患は、代表的なものは肺結核非結核性抗酸菌症・肺アスペルギルス症・肺がん・気管支拡張症などの呼吸器疾患ですが、脳血管疾患や心臓疾患などで血液をサラサラにするお薬を飲まれている方でも喀血は起こります。また、原因疾患がわからない特発性喀血もあります。
血痰・喀血に対する直接的な治療法としては大きく分けて、
①止血剤の投与(内科的治療)
②カテーテル治療(血管内治療)
③外科的切除(外科的治療)
があり、出血の頻度や量により選択されます。
呼吸器専門病院という当院の特性上、喀血の原因になる疾患に対する内科医および外科医の経験は豊富で多くの実績もあります。

気管支動脈塞栓術(BAE)とは

血管塞栓術は、血管内にカテーテルを挿入し、出血の原因となっている血管を精密に割り出して、そこに塞栓物質で詰めることにより出血部位への血流を遮断する治療です。治療前には造影CTを撮影して、病的血管の発達、異常血管の描出、肺動脈シャントの有無などを診断した後、実際のBAEを行っています。高度な技術が要求される治療法ですが、当院では放射線科専門医が中心となり実施しております。

塞栓前

 

塞栓後

 

気管支動脈塞栓術(BAE)の適応

従来でも救急車で来院するような致死的な大喀血は救命センターなどで緊急的な気管支動脈塞栓術を行われていました。当院の施行医はこのような危機的な出血に対する血管塞栓術の経験をもとに慢性的な喀血にお悩みの患者様にも安全で確実な止血術、塞栓術を行うべく、日々努力を続けています。
コップ一杯200ccを超えるような大量の喀血を経験の方や200cc未満であるもののティッシュでは処理できないほどの喀血を繰り返す方、少量もしくは血痰が日常的に継続する方を対象として気管支動脈塞栓術の適否を考えさせていただいています。
脳血管疾患や心臓疾患などで血液をサラサラにするお薬を飲まれている(抗血栓療法・線溶療法)方の喀血や高齢者、背景疾患の深刻な方、他院で治療効果の上がらなかった方に関しても可能な限り治療の可能性を検討させていただいております。

喀血・血痰の日常生活への影響

喀血・血痰のコントロールにおいてもっとも重要なことは大喀血による突然死の回避ですが、症状自体が精神的に患者さんに影響し、日常生活の活動性を落としているケースが非常に多く見られます。外来時にはQOL(生活の質)のアンケートにお答えいただき、現在の状況を把握する重要な判断材料にさせていただきます。術後にも同様のアンケートにお答えいただき、手術の効果判定、再治療の必要性などについて評価させていただいています。
喀血の患者様は慢性疾患をお持ちの方が多く、長い経過のなかで症状がよい時と悪い時がありますが、各科連携して長く経過を見させていただいています。

気管支動脈塞栓術(BAE)の入院治療・費用

外来からの待機的な治療の場合は二泊三日の入院になります。入院の翌日に治療し、翌々日の午前中には退院となります。喀血で緊急に入院された方はこの限りではありません。
治療費は、自己負担額が3割の方でおおよそ30万円~35万円(入院費等込み)になります。高額療養費の適用になる場合もありますので、ご自分の自己負担限度額がいくらかご確認ください。

喀血・血管塞栓術外来の予約

〇医療機関の方、紹介状のある方へ
地域医療連携室 受付時間 月曜日~金曜日 8時30分~17時00分
【電話番号】 042-491-9128 
【FAX番号】 042-491-3553
※診療情報提供書のご用意をお願いいたします。
診療情報提供書は、複十字病院受診時に患者様にご持参頂きますよう、お伝えをお願いいたします。
※患者様には、空腹時で複十字病院に受診するようお伝えをお願いいたします。
※喀血・血管塞栓術外来の受診には紹介状が必要になります。
紹介状のない患者様につきましては、一度かかりつけの先生にご相談いただくか、当院呼吸器内科をご受診ください。

医師紹介

 

竹内 均

結核予防会複十字病院 放射線診断科 医長

学歴
平成14年 広島大学医学部医学科卒業
平成14年 山口大学医学部付属病院
平成15年 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター
平成16年 東京女子医大病院
平成17年 国立がんセンター中央病院
平成17年 独立行政法人国立病院機構災害医療センター
平成18年 東京都立府中病院(現東京都立多摩総合医療センター)
平成27年 結核予防会複十字病院 放射線診断科
救命救急、麻酔科、放射線科で研修を積み、平成27年より現職。

業績

研究教育上の業績一覧

Ⅰ.講演

打田賞受賞講演・表彰 :DICにて発症した巨大Isolated Splenic Peliosisの一例、第23回腹部放射線研究会、岡山コンベンションセンター、2009年6月20日
パネルディスカッション :肺動脈塞栓症におけるSingle Source Dual Energy CTの有用性、第10回循環器MDCT研究会、東京都千代田区ベルサール飯田橋、2010年12月18日
ランチョンセミナー :物質弁別がもたらす画像診断の新たなる挑戦~形態診断から機能診断へ~、Advanced CT・MR 2014、軽井沢プリンスホテル ウエスト、2014年6月14日
シンポジウム :「肺癌の病気診断 3. M因子」、肺癌診断会 栃木県那須高原りんどう湖ロイヤルホテル、2015年6月26日
特別講演 :血痰・喀血患者に対する対応のすべて~診断とインターベンション治療の最前線~、第5回練馬区医師会学術部呼吸器勉強会、練馬区医師会館ホール、2018年3月20日

研究教育上の業績一覧

Ⅱ.一般演題

竹内 均 :MRIのT2WI画像、FLAIR画像、DWI画像が診断の手がかりになった脳死亡塞栓症の一例、第20回日本集中治療学会中国四国地方会、岡山市、ホテルグランヴィア岡山、2003年2月22日
竹内 均 :難治性消化管出血による貧血を契機に発見された小腸のangiodysplasia一例、第17回関東IVR研究会、ホテルオークラ本館一階平安の間、2005年7月9日
竹内 均 :DICにて発症した巨大Isolated Splenic Peliosisの一例、第22回腹部放射線研究会、つくば国際会議場、2008年6月6日
H. Takeuchi : Initial evaluation of Single Source Dual Energy CT in the pulmonary artery embolism, European Congress of Radiology 2011, Vienna, Austria, March 2011
H. Takeuchi : Lung Perfusion Imaging: Various Pulmonary Diseases by Fast KV Switching Dual-Energy CT (Single-Source Dual-Energy CT), RSNA2011, Chicago USA, December 2011
H. Takeuchi : Diagnosis of Small Bowel and Colonic Obstruction and Necrosis Using Contrast-enhanced Fast KV Switching Dual-Energy CT (Single-Source Dual-Energy CT)), RSNA2011, Chicago USA, December 2011
H. Takeuchi : Crowned Dens Syndrome: Spectrum of Imaging Findings, Differential Diagnosis, and Clinical Correlation), RSNA2011, Chicago USA, December 2013
H. Takeuchi : Can Dual-Energy CT Help Distinguish Cardiogenic Pulmonary Edema and Acute Interstitial Lung Disease?, European Congress of Radiology 2011, Vienna, Austria, March 2015
竹内 均 :Detection of shunting into pulmonary artery on multidetector-row CT arteriography before bronchial arterial embolization: a preliminary study、第9回呼吸機能イメージング学会、2017年1月28日
竹内 均 :気管支動脈塞栓術前の胸部CTAにおける肺動脈shuntの診断、第46回日本IVR学会総会、岡山コンベンションセンター、2017年5月18日
竹内 均 :炎症性肺疾患におけるSystemic artery to pulmonary shuntと気管支動脈塞栓術、2017 IVRリサーチミーティング、日本ストライカー株式会社新宿エデュケーションルーム、2017年12月9日
竹内 均 :放射線科医による気管支動脈塞栓術、第3回呼吸器血管内治療研究会、トラストシティカンファレンス京橋、2018年2月17日

研究教育上の業績一覧

Ⅲ.論文・著書

①論文
*邦文
竹内 均、迷画を明画に! Let’s challenge 画像読解Q&A No.3、エマージェンシー・ケア 22(6): 489-492, 2009.
*欧文
Takeuchi H, Suzuki S, Machida H, Ishikawa T, Ueno E. Preliminary Results: Can Dual-Energy Computed Tomography Help Distinguish Cardiogenic Pulmonary Edema and Acute Interstitial Lung Disease?
JComputAssistTomogr. 2018 Jan/Feb;42(1):39-44. doi: 10.1097/RCT.0000000000000643.
Fujita M, Tsuruta R, Wakatsuki J, Takeuchi H, Oda Y, Kawamura Y, Yamashita S, Kasaoka S, Okabayashi K, Maekawa T. Methanol intoxication: differential diagnosis from anion gap-increased acidosis. Intern Med. 2004 Aug;43(8):750-4.
Machida H1, Takeuchi H, Tanaka I, Fukui R, Shen Y, Ueno E, Suzuki S, Lin XZ. Improved delineation of arteries in the posterior fossa of the brain by model-based iterative reconstruction in volume-rendered 3D CT angiography. AJNR Am J Neuroradiol. 2013 May;34(5):971-5. doi: 10.3174/ajnr.A3320. Epub 2013 Jan 4.
②著書
竹内均 :臨床編第2章胸部、臨床編第4章腹部・骨盤、スペクトラルCT基本原理と臨床応用、上野恵子、東京都品川区西五反田2-11-8株式会社学研メディカル秀潤社、2013年、184頁~196頁、308頁~311頁